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存在のない子供たちは実話ではない!ゼインとヨナスのその後。【考察&解説】社会問題

映画「存在のない子供たち」の感想&考察&解説映画&ドラマ批評

今回は映画「存在のない子供たち」の感想とあらすじです!

(ジャンル・社会問題)

個人的な点数は70点ですね。

映画「存在のない子供たち」のあらすじ!ジャンルは社会問題

レバノンで生まれた少年ゼインは、家庭が貧しいので物心ついた頃から働かされていました。

ゼインには多くの兄妹がいて、年齢の近いサハルと特に仲がよかったです。ですが、家主がサハルのことを狙っていました。

ゼインはサハルを家主に奪われないようにするため、2人で脱出の計画をたてます。

食糧などを盗んで準備が終わったちょうどその時、家主がサハルと結婚することが決まりました。

結婚を許した両親をゼイン憎み、家を出ます。そして1人で働くことを決意しますが、身元不明の子供を雇ってくれる人はいません。

映画『存在のない子供たち』予告編
『キャラメル』などのナディーン・ラバキー監督が、中東の社会問題に切り込んだドラマ。主人公の少年が、さまざまな困難に向き合う姿を描く。ラバキー監督も出演するほか、ゼン・アル・ラファ、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレらが出演。第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したほか、第91回アカデミ...

映画「存在のない子供たち」のキャスト&登場人物

キャスト&登場人物
  • ゼイン・アル・ハッジ(ゼイン・アル・ラフィーア)
  • ラヒル・シファラ(ティゲスト・アイロ)(ヨルダノス・シフェラウ )
  • ヨナス(ボルワティフ・トレジャー・バンコレ )
  • スアド・アル・ハッジ(カウサル・アル・ハッダード)
  • セリム・アル・ハッジ(ファーディー・カーメル・ユーセフ )
  • サハル・アル・ハッジ(シドラ・イザーム)
  • アサード(ヌール・アル・フセイニ )
  • アスプロ(アラーア・シュシュニーヤ )
  • ナディーヌ・アル・アラム(ナディーン・ラバキー )

映画「存在のない子供たち」の感想&考察(ネタバレありの解説です)

※ここからネタバレあります

 

存在のない子供たちは実話ではない!だけど、キャストは近い境遇の人が演じている!

この映画はノンフィクション(実話)作品のように見えますが、実話ではありません。

ただ、テーマである「レバノンの貧しい子供たち」は実際の社会問題です。

それだけでなく、キャストに選ばれたのは、同じような境遇を過ごしてきた人たちです。そのため、演技にはリアリティがあります。

主人公のゼインを演じている俳優も、子供の頃から働いており、幼くして社会の厳しさを実感しています(彼の悟ったようなまなざしは印象的です!)

ゼインとヨナス(赤ちゃん)、ラヒルはその後どうなったのか?

主人公のゼインは、ラストシーンで両親を訴えました。「幸せにできないなら、子供を産むな」

彼の主張は、本当にその通りですよね。ゼインの両親は、自分たちの寂しさを紛らわすためだけに子供を産んできました。

母親なんかは全く反省していません。サハルが死んだのに「新しい子供を授かった」なんて言ってきます。

さすがにこれにはブチ切れですよね!「これ以上不幸な子供を増やすな!」と説教してやりたくなりますよ。

さて、両親への訴えが終わってから、ゼインは身分証明書のための写真を撮影しました。

ゼインはその後どうなるんだろう?

ゼインはその後、政府に保護されるでしょう。あるいは、番組を通じての寄付でまともな生活を送るのだと思います。

また、ラヒルと赤ちゃんのヨナスは不法移民ですので、母国のエチオピアへ送り返されるかもしれません(政府が情けをかけて、彼女も移民を認めてくれる可能性もありますが)

トラマドールとは、気分を高めてくれる薬のこと。これを海水に溶かして売っていた

物語の序盤と中盤で「トラマドール」という薬が出てきます。これは、気分を高めてくれる薬のことです。

ゼインの母親は、トラマドールを砕き、水に溶かします。それを服にしみこませて受刑者に売りつけるのです。

受刑者はその服に水をかけてしぼり、トラマドール入りのジュースを作るのでしょう。

また、ゼインも「スウェーデンへの移民」を夢見てから、トラマドール入りの海水を売るようになりました。

不良たちに売りつけてお金を貯めこみましたが、家に鍵をかけられてしまったので全財産を失います。あまりに希望のない展開ですよね。

氷に粉ミルクをかけてヨナスに食べさせていたシーンが印象的。

ヨナスに食べ物を与えるため、ゼインは道端の赤ちゃんの哺乳瓶を盗みます。

それをヨナスの口元に当てますが、まったく飲んでくれません。そこで彼は、氷に粉ミルクをかけて食べてもらうことにしたのです。

この発想には驚きましたね。暑そうな地域なので、氷だったら赤ちゃんも喜んで食べるのでしょう。

スウェーデンへはシリア難民を受け入れている(ドイツとシリアだけが受け入れ国)

ゼインは花売りの少女から「スウェーデンにはね、シリア人だけが住む場所があるんだよ。そこは幸せな場所だよ」と教えてもらいます。

それを聞いたゼインは「スウェーデンは希望なんだ!」と信じます。

これって本当なのかな?

この話は本当です。幸せかは分かりませんが、スウェーデンとドイツはシリア難民を受け入れています。

ただ、現地の人はあまり良い気持ちを持ってないようです。仕事を奪われるし、文化が違うので衝突することもあります。

ゴキブリマンがラヒルの身元引受人になろうとしたけど、無理だった。悲しい現実。

テーマパークを運営しているゴキブリマン(おじいさん)は、ラヒルの友人です。

ラヒルは彼に頼み込み、身元引受人になってもらおうとしました。そうすれば、正式に不法滞在でなくなるからです。

ですが、結局は拒否されました。現実は厳しいですね。

ラヒルは髪の毛を売ってお金を工面したのに、その直後に逮捕。あと少しだったのに・・・。

ラヒルは500ドルを工面するため、自慢の髪の毛を売ることにしました。

それでお金を作ることに成功しましたが、お金をアスプロの店への途中で捕まりました。

あと少しで身分証明書が手に入ったのに、ことごとく現実は厳しいですね・・・。

とにかく救いのない作品。ただ、現実にはもっと厳しい状況の子供もいる。

この映画は、本当に救いのない作品でした。希望を持って頑張っても、そのたびに現実は逆の方向へと進んでいきます。

ただ、ゼインはまだ幸せな方かもしれません。トラマドールで稼ぐ方法を知っていたり、ラヒルと出会えたり。

実際にはもっと厳しい状況の子供もいるでしょう。こういう作品を観ると、日本がどれだけ恵まれているのか分かりますよね。

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